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TESTAMENTO

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裏山

  裏山

夏の夕方
一人で裏山にのぼった
だぁーれもいなかった
そこからは
もうネオンの灯り始めた町の方が見えた
草むらがなかったから
コンクリートの土手の上にあおむけになった
まだ星は見えないけど
もう暗くなり始めていた
夕焼けはなかった
空の青い色が
もう灰色がかっていた

空を見てると
何だか 吸い込まれていくみたいだった
そして 自分がひどく小さくみえた
人間なんて ちっぽけなものだなって
何だか
いまこの世で動いているのが
自分一人のような気がした
山は
黒い大きな岩のようになっていた

一晩中そこにいたかった
そう考えた時
家のことを思い出した
そして
ゆっくり歩き始めた
それから
山の怪物が恐くなって
急いで駆けていった
もう
空は 一色に塗りつぶされていた

  (1969.8.27)


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